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シュルレアリスム(超現実主義)Ⅰ

<シュルレアリスムという言葉について>
シュルレアリスムのシュル(sur)は「超」を表すフランス語の接頭語。シュルには「超える」「離れる」という意味と「過剰」「強度」を意味する場合があります。シュルレアリスムは後者を適用します。
日本では「シュール・レアリスム」と「シュール」と語句を伸ばして誤使用されています。又、「シュル・レアリスム(超+現実主義)」と途中で切るのは間違いです。シュルレアリスムは一つの言葉であり、切るとすれば「シュルレエル(超現実)」+「イスム(主義)」と切るのが正しい切り方。

<超現実とは何か>
現実から離れて現実を超えてしまった現実ではなく、現実の度合いが強いという意味を含んでいます。「強度の現実」「現実以上の現実」と考えるのが適しています。「超スピード」は、スピードが無いのではなく、猛烈に速いスピードのことです。「超高層」「超人気」「超低空」「超大型」など、語句内容をさらに強めるために使われています。「超カワイイー」「超うれしー」「超オシャレー」も同様。

シュルレアリストたちは、現実を離れた別の世界に「超現実」があるのではなく、現実の世界に「超現実」は内在し、現実とつながって隣接した世界であると考えました。

<シュルレアリスムと無意識>
オーストリアの精神分析学者フロイト(1856~1939年)は、人間の心は三層(意識、前意識、無意識)の構造で成り立っていると考えました。

意識 (今、気づいている心の部分)

前意識(いま気づいていないが、努力によって意識化できる心の部分。
     「夢」や「狂気」となって現れる)

無意識(抑圧されていて、意識化できにくい心の部分)


超現実主義者たちは「無意識」の存在を前提として、美や芸術や人間の問題を考えなければならないと考えました。

芸術的創造は「無意識」の内に宿っている

「無意識」に創造の源泉を見て、そこから湧き出るイメージを形象化(作品化)

<シュルレアリスムと夢・夢を記述する>
フロイトは、「夢」は前意識の産物で、無意識にあるものが少し形を変えて前意識まで上がってきたものが「夢」だと考えました。夢は無意識を知るための大きなヒントであり無意識からのメッセージなのです。
                        
超現実主義者たちは、夢の世界を人間にとって最も制約のない自由な世界であると考え、夢と現実が出会う「超現実」こそ自由な創造を可能にすると考えました。


次回「シュルレアリスムⅡ」では、無意識の世界を引き出す手法「デペイズマン」について解説します。
           
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[シュルレアリスムⅡ」

シュルレアリスト(超現実主義者)達が、『無意識』の世界に創造の源泉を見て、そこから湧き出るイメージを作品化したことは、「シュルレアリスムⅠ」で解説しました。今回は、無意識の世界を引き出す手法として、《デペイズマン》について解説します。

《デペイズマン》とは、シュルレアリスムの常套的方法論で「不一致の一致」と訳されます。物を本来あるべきところから別のところへ移すことで新しい美やイメージを創り出す方法です。最初に“驚き”を与えることによって、鑑賞者のそれまでの物の見方や感じ方、常識、固定観念(思い込み)を白紙にさせ、新しい思考回路や新たな感覚を鑑賞者の内に新しく呼び起こさせようとするのがシュルレアリスムの作品です。

《記憶の固執》1931年
記憶の固執

例えばダリの作品の中で最も知られ、ダリの代名詞にもなった作品《記憶の固執》(1931年)を見てみましょう。画面中央に横たわる不思議な物体はダリの自画像です。金属で固いと思われている時計が柔らかく描かれていることや(カマンベール・チーズを食べていた時に思いついたという)、まるで時計を食するかのような蟻の群れに驚きます。本来のイメージを異なるイメージに移し替えることで驚きを生み出すデペイズマンの技法が用いられています。

《生きている生物(速い動き)》1956年
生きている生物


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ルネ・マグリット

ルネ・マグリット(1898~1967)ベルギー生まれ
ダリと共にシュルレアリスムを代表するベルギーの画家。「イメージの魔術師」と呼ばれています。日常的なありふれたイメージを自由に組み合わせ、実際にはありえないような場面を作り出すことによって、謎めいた、超現実的な世界を創造しました。シュルレアリスムの常套的な方法であるデペイズマン技法によって、驚きのある不可思議な世界が描き出されています。
分かりやすく言いますと、「ナニコレ珍百景」的な世界です。
     
 「エッナニコレ?」「ナンデコンナトコロニアルノ?」「チョットドコカヘンダヨネ」

空間のデペイズマン(空間を入れ換える)

ゴルコンダ
《ゴルコンダ》1959年

        配列よく空に浮かぶマグリット自身。ありえない光景が広がる

白紙委任状
《白紙委任状》1965年

        「虚」の中の実、「実」の中の虚が同居する世界

存在のデペイズマン

人間の条件
《人間の条件》1934年

  キャンパスに描かれた絵と外の風景がつながっている。現実とは何か?

時間のデペイズマン

光の帝国
《光の帝国》1954年

        明るい昼間と、暗い夜が同居する不思議な世界

大きさと位置のデペイズマン
(大きさの関係や位置を入れ換える)

リスニング・ルーム
《リスニング・ルーム》1952年 

        大きさの不均衡にただ驚くばかり!

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《弁証法讃》1936年

        窓は内側に開き、室内には家の全体像が見える不思議さ


材質の変化によるデペイズマン

黒魔術
《黒魔術》1935年

        皮膚が青空に同化していく裸婦

哲学的考察を生み出した作品

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《イメージの裏切り》1929年

画面中央にパイプが描かれ、その下にフランス語で「これはパイプではない」と書き込まれています。この言葉は、これはパイプの絵であって、本当のパイプではないことを意味しています。パイプが描かれているのになぜパイプではないのか戸惑いますね。確かに描かれたパイプでは煙草は吸えないのだからこれはパイプではありません。鑑賞者はパイプの絵を見ると、実物のパイプのイメージを重ね合わせてそこにパイプがあるのだと思ってしまいます。それが言葉によって打ち消され(裏切られ)、パイプではなく「絵」であることに気付かされます。実物のパイプ、パイプのイメージと言葉との関係について考えさせられる作品です。

               

言葉では語りきれない不思議なイメージ、すべての前に驚きがあり、すべては絵が語る。






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ナニコレアート!!!

シュルレアリスムの《デペイズマン手法》が使われた、ナニコレアートを5点ご紹介します。

デペイズマンとは

まったく関係のない物同士を共存させて「驚き」を生み出すことによって、鑑賞者のそれまでの固定観念を白紙にさせ、新しい美やイメージや思考回路を呼び起こさせようとする手法

サンディ・スコグランド《金魚の復讐》1981年 写真
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アメリカの女性写真家

何カ月も費やして、部屋などの緻密なセットを準備し撮影するという独特のスタイルの写真家。青い部屋に浮かんだり置かれた無数の赤い金魚の群れ。鑑賞者に新しいイメージを持たせるデペイズマン手法の写真。

ダミアン・ハースト《神の愛のために For The Love Of God》2007年
for The love of God


イギリスを代表する現代美術作家
18世紀の頭骸骨をかたどったプラチナに、8,601個のダイヤを敷き詰めた、120億円のどくろアート。
 「アートが何なのかを気に掛けるのはやめた。ギャラリーの壁や床に展示してあれば、それが多分アートなんだろう」(ハーストの言葉)


ロン・ミュエク《ボーイ》1999年
ボーイ

ファイバーグラス、樹脂、シリコンでできた高さ5mのかがんだ少年の立体作品。
ナニコレ、ナンデ、こんな巨大な少年が美術館にあるのか‥空間のデペイズマン

ルネ・マグリットの《リスニング・ルーム》と同じデペイズマンです。

ルネ・マグリット《リスニング・ルーム》
リスニング・ルーム


ミケランジェロ・ピストレット《ぼろぎれのヴィーナス》1967年
ぼろぎれのヴィーナス

第2次世界大戦後のイタリアの新しい美術の流れ、「アルテ・ポーヴェラ」(貧しい・簡素な芸術という意味)というグループで活動した作家。日常を象徴する衣類の山と、世界の美の象徴であるヴィーナス(しかも後ろ向き)という全く関係のないものを組み合わせて、新たな感覚を呼び起こそうとしている。


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