
マーク・ロスコ《ナンバー61 赤褐色と青》1953年 294cm×232cm
抽象表現主義は、大きな身振り(アクション)や荒々しいタッチによって描き出されるアクションペインティングと、色彩が強調された巨大な色面によるカラー・フィールド・ペインティング(色面絵画)に大別されます。

ジャクソン・ポロック、 ウィレム・デ・クーニング、 フランツ・クライン

マーク・ロスコ、 バーネット・ニューマン、 モーリス・ルイス、クリフォード・スティル
カラー・フィールド・ペインティングとは
「色面絵画」「色彩による場の絵画」と訳されます。抽象表現主義の中でも、大きく身体を動かし、
激しい筆致で描いたアクション・ペインティングのポロックやクーニングらの線的な表現とは異なり、見る者を包み込むような大きく拡がる色彩(色面)によって、精神性の高い抽象画を描いたマーク・ロスコ、バーネット・ニューマン、クリフォード・スティル、モーリス・ルイスたちの作品をカラー・フィールド・ペインティングと呼びました。
カラーフィールドペインティングは、大きく拡がる色彩を体感して、何が描かれているのかを言葉で探るのではなく、意味にこだわらずに「感覚」や「感性」で見る、色彩や形を体験するアートです。
マーク・ロスコ(1903~1970)
抽象表現主義のカラーフィールド・ペインティングを代表する作家の一人。1903年、ロシアのドヴィンスクという町にユダヤ人の薬剤師の息子として生まれました。1913年にアメリカに一家で移住し、24年ニューヨークのアート・スチューデント・リーグに学びました。33年初の個展を開く。当初はシュルレアリスム風のイメージによる作品を描いていましたが、46年から「マルチフォーム」と呼ばれる茫洋とした色面の作品を描き始めました。49年には「ロスコ様式」と呼ばれる二つか三つの矩形の色面を縦に重ねた独自のスタイルを創出しました。

マーク・ロスコ《波打ち際の穏やかな渦巻き》1944年
初期のイメージによる作品

マーク・ロスコ《白と赤の上の紫、黒、オレンジ、黄》1949年
207cm×167cm
人の背丈を越える大きなキャンバス、色彩によるオールオーヴァー(全体を覆う)な画面、絵を見るより絵(色彩)に包み込まれるような感覚に捉われます。薄く溶いた絵の具の重ね塗りによって作り出された透明感のある色彩は、画面の奥から光を発しているかのような深みのある輝きを画面にもたらしています。静かで瞑想的な画面は、見る者の感情に働きかけ精神性を強く感じさせます。

作品の前のマーク・ロスコ

《ホワイト・センター薔薇色の上の黄、ピンクラベンダー》1950年
ロスコの色彩は物の表面の色ではなく、視線の奥から、遥か遠くから立ち現われてくる色なのです。人は掴みきれない奥の深い色に心が動かされます(夕日、青空、海の色)。たとえば海の色がペンキを塗ったような状態だったらどうでしょう?海の底から湧きあがってくるような色彩だから感動するんですよね。
また、矩形の輪郭や色面の境界がぼかされていることが、見る者に「柔らかさ」「安らぎ感」を与え 作品を受け入れやすくしています。
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