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昭和前期の洋画家Ⅳ

三岸 好太郎 みぎし こうたろう(1903~1934年・明治36年~昭和9年)

モダンアートの新しい美術様式(フォービスム、キュビスム、超現実主義)を次々と試み、自己の画風を変化させながら、日本の前衛絵画の礎を築いた夭折の天才画家。31歳で亡くなるまで200点余りの作品を残しています。

1932年_convert_20100626172656


1921年18歳の時、画家を目指して札幌から上京。独学で油絵を学ぶ。展覧会で受賞を重ね、1930年の独立美術協会の結成に参加。ルオー風の厚塗りの作品をはじめ、めまぐるしく作風を変化させ、日本近代洋画の革新をめざしました。

《少年道化》1932年
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厚塗りの絵の具が作り出すマティエール(画肌)の深みと色合いに、美しさを感じます。
ルオー風の筆致による作品からは、「強い絵」が 持つ 訴求力も感じます。
どこかに“モダン”を感じさせる三岸の絵画的センスの良さ、絵作りのうまさが見どころだと思います。

ルオー《ピエロ》1925年
ピエロ1925年_convert_20100626174859

《横向少年》1920年
横向少年1920年_convert_20100626174535

妻であり画家である三岸節子が秘蔵していた作品。夫の三岸好太郎の力強い表現を高く評価していました。

《少年》1931年
少年1931年_convert_20100626174713

《黒い金魚》1931年
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晩年の作品は、中間色(グレー、アイボリー系)によるバランスのとれた巧みな色遣いが心地よく、三岸のうまさを感じます。イメージがどのように画面に描き出されているのかを探る楽しみも感じます。

《少年》
単純化された少年の横顔ですが、少年の目に惹きつけられます。やはり見どころは、マチエールと効果的に使われた黒の線ではないでしょうか。特に右下の襟の黒い縁取りの線が、傾げた構図のバランスをとっていると思います。

《黒い金魚》では、金魚鉢を形付けている黒い線の面白さに加えて、屈折を感じる水面とその透明感が美しいと思います。又、金魚の微妙な配置に動きも感じられます。黄色い部分は厚紙が貼られていて、パピエコレ(キュビスムの技法)の手法も試みられています。

《花(おばけの)》1933年
花(おばけの)1933年_convert_20100624141456

花(おばけの)1933年+-+コピー+-+コピー_convert_20100624141636

オートマティズム(自動筆記)という、シュルリアリスムの手法をいち早く用いて描きました。

【オートマティズムとは】
シュルレアリスムを代表する基本的な技法。シュルレアリスムの創始者、フランスの詩人アンドレ・ブルトンが行った詩作の実験のことを言います。何も考えず、言葉を速い速度で自由に思いつくままに書きつけていくとことによって、無意識や深層心理に眠っているものを引きずり出す方法です。理性によるコントロールを取り除いて、意識下のイメージを記述することを目指しました。アンドレ・マッソンが線描画で試みています。

図2
アンドレ・マッソンの自動記述によるデッサン

《飛ぶ蝶》1934年
飛ぶ蝶1934年_convert_20100624141557

ピンで留められている、現実には存在しないであろう蝶や蛾。そのうち右上の一匹が舞い上がろうとしています。好太郎の詩の一節に「蝶ノ冬眠ガ始マル/而シ押サエラレタピンヲハネノケテ再ビ飛ビ出ス事ハ自由ナノダ」とあります。その時代を自由奔放に生きた三岸自身なのでしょう。蝶の色の配色は洒落た色の組み合わせの見本のようで心地よく感じられます。

絶筆《女の顔》1934年
女の顔1934年_convert_20100629133919

最後まで「強い絵」を描き続けました。短くも濃密な画家生活を生き抜きました。
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テーマ:アート - ジャンル:学問・文化・芸術

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