ロイ・リキテンスタイン《ホ―プレス》1963年

平面であるキャンバスに平面である漫画を描くので、イリュ―ジョンは存在しないのです。
ロイ・リキテンスタインは、アンディ・ウォーホルと共にポップアートの画家です。
ポップアートは、大衆文化から誰でもよく知っているイメージを借用し(そのまま描き写さずアレンジ)、クリアーな色彩や形で表現した分かりやすいアートです。大量消費社会の日常的でありふれたモノが題材になっています。抽象表現主義の難解な表現とは異なり、短期間のうちに大衆に受け入れられました。
ロイ・リキテンスタイン《日本風の橋のある風景》1992年

誰でも知っているイメージ‥モネの庭



モンドリアン《コンポジション》1929年

平面に平面を描くので、イリュージョンが存在しません。
「コンポジション」のシリーズの中で最も知られた作品。極端に画面上の要素を切り詰め、説明的なものが一切排除されています。画面を支配するのはバランス感です。赤、青、黄の配色関係、白いスペースのとり方など、これ以上の組み合わせが無い程の決定的な表現となっています。左の短い水平線は他の線に比べ太く引かれており、赤色の色彩力に対抗しています。中心がない非対称の画面で、色彩と線が作品の外の空間に拡がり結びつく新しい絵画空間が作り出されています。


テオ・ファン・ドゥースブルフ《カウンター・コンポジション》1924年

ドゥースブルフは、新造形主義を理念にモンドリアンらと共に【デ・ステイル(オランダ語で様式)】というグループを結成し、同名の雑誌を刊行しました。しかしその後、垂直線と平行線に固執したモンドリアンは、建築家でもあるドゥ-スブルフが奥行きの要素となる対角線を用いたことで、ドゥースブルフと対立し、遂に決裂してしまいます。
ドゥースブルフの「カウンター・コンポジション」 カウンターは、反撃の意味です。



ジャスパー・ジョーンズ《旗》1954~1955年 107.3×153.8cm
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キャンバス(平面)に 国旗(平面)を描く。
「旗(物)」でもあり、「旗を描いた(絵画)」でもある作品
厚みも奥行きも無い二次元の国旗を二次元のキャンバスに描いているので、最初からイリュージョンが存在しません。
星条旗という現実を画面に移すことによって、絵画を現実の物にしてしまう。つまり、星条旗という現実と一致する絵画を描いたのです。絵画も日常の事物と等価であることを表現。いかなる感性や観念の表明でもない、物としての絵画なのです。



イリュージョンが存在しない絵画【モノクロ-ム絵画】
【モノクローム絵画】とは、単色が塗られただけの、イリュージョンの存在しない絵画、物体としての絵画です。
色彩と、その絵具の質感だけが表現のすべてです。絵画の終着点とも言える絵画です。
イブ・クライン《IKB124》1960年

ブライス・マーディン《回帰Ⅱ》1969年
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桑山忠明《無題・赤》1961年
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カラー・フィールド・ペインティングの赤とはどこが違う?
バーネット・ニューマン「アンナの光」1968年 2.8×6.1m 川村記念美術館

カラー・フィールド・ペインティングは、絵を見るというより、鑑賞者を包み込むような大きな色面(カラー・フィールド)や形を体感して、「感覚」や「感性」で見る体験するアートです。静かで瞑想的な画面は、見る者の感情に働きかけ精神性を強く感じさせます。
赤は赤、色見本と同じ赤、内的言語を持たない物としての絵画「モノクローム絵画」との違いです。
「絵画とは、少なくとも、それを制作した時に抱えていた感情的な内容を、何らかの形で自ら表出しているものです」と、バーネット・ニューマンは言います。「アンナの光」というタイトルは、1965年に亡くなった母アンナにちなんで付けられました。
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