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色彩についてⅢ「黒」

際立たせる黒

グイド・カニャッチ《フラスコの花》1645年頃 イタリア・バロック絵画
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鮮やかな色彩の花々 生命力に溢れ煌めきを放っています。それとは対照的に、ほどけちぎれたフラスコの籠。しかし縄の見事な描写力が光を受けて際立っています。それもこれも、闇の「黒」のなせる業。 

存在感の黒

エドゥワール・マネ《アトリエの昼食》1868年
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「いま」「ここ」と言った現在の瞬間性を描くというモダンアートの父マネの作品です。
青年がテーブルの角にちょっと腰を掛けて遠くへ視線を向けた瞬間を描いています。青年のジャケットの「黒」が画面をぐっと引きしめていて、奥の陶器の植木鉢の白との対比で奥行き感も増しています。テーブルクロス、ナイフ、レモン等にトップライトが注がれていて美しい作品です。

オーギュスト・ルノワール《桟敷席》1874年
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最初に目に飛び込んでくる黒と白のストライプ。私達鑑賞者の視線は、彼女の美しい肌や胸元の真珠の首飾り、花飾り、そして後ろに座る男性へと動き回るのですが、やはり黒と白のストライプの存在感に、何度も視線が戻るのを感じます。ルノワールの印象派の仲間たちは、「黒」は色ではないとしてパレットから追放してしまいましたが、ルノワールは「黒」を効果的に遣いました。
明るい色と対比させることによって、「黒」が美しい色になることを作品で示しました。
しっかりと描かれた女性の顔が画面を引きしめています。後ろの男性の、舞台ではなく客席の女性か有名人を眺めるために覗きこんでいるオペラグラスが、この作品のストーリー性が膨らむ小道具となっています。

ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841~1919)

1870年代は、印象派の特徴である筆触分割で描きました。80年代に入ると、筆触分割では形態や材質感の表現が困難であるという問題にぶつかります。1881年のイタリア旅行で古典芸術(ラファエロや古代ローマの壁画等)に触れたルノワールは、形態を重視した作風へと変わっていきます(涸渇時代 1883~1887)それは印象派に決別する結果となりました。
1888年にリュウマチ性関節炎や顔面神経痛の病に襲われ、また涸渇時代の画風からパトロンが離れていったこともあり、古典主義的な表現から本来の柔らかなアウトラインに戻ります。
そして作者が特定できる≪ルノワール独自の世界≫が確立されるのです。

ルノワールの作品は、題材が明るく幸福感にあふれています。愛らしい子供、花、楽しく集う人々を描いた作品を多く残しました。羽毛のように軽くて柔らかいタッチと、バーミリオン(朱色)を代表とする暖色の持つ温かみが見どころです。

ルノワール《バラを挿したブロンドの女》1915~17年
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横山大観《雲去来》1917年 熊本県立美術館蔵
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《雲去来 部分》
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墨一色の濃淡渇潤だけで、明暗・奥行きそして山や雲や空気の精神性までも表現しています。彩色を越えた深みのある表現です。


香月の黒

香月泰男《母子》1968年 27.5×21.3cm
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赤ん坊を抱く母の表情は描かれていないけれど、注がれる眼差しの優しさが伝わってきます。赤ん坊は、母の宝物のように輝いています。とにかくシンプル しかしそれはただフォルムと色面の表現ではなく、凝縮された精神性にあふれています。母親の背景の余白、下塗りを周囲に残す香月のスタイルが、この黒をより一層温かくしています。

愛する家族や小さな生き物を描く一方で、香月泰男(1911~1974 山口県出身)は、1945年にシベリアに抑留された時の体験を再体験するかのように「シベリア・シリーズ」を発表し(1948年に第一作「雨(牛)」「風」)、生涯描き続けます。

香月泰男《涅槃》1960年 山口県立美術館蔵
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木炭や方解末を混ぜた黒や褐色の絵の具で描かれています。
鎮魂と平和への祈りをこの黒に託して生涯描き続けました。
「僕は、鉄砲を持った兵士として死にたくなかった、絵筆を握った絵描きとして死にたかった」香月泰男の言葉
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テーマ:アート - ジャンル:学問・文化・芸術

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