ライナー・フェティンク《自画像》

1949年、ヴィルヘルムスハーフェン(ドイツ)に生まれる。ベルリン美術大学で学ぶ。ベルリン・NY在住の新表現主義の画家
ドイツ表現主義*の影響を受けています。
モダニズムが排除してきた具象表現(巨大なキャンヴァスに自由で大胆な筆触・色遣い)で、再び「意味・内容」を復活させた作品を描きました。A・キーファーらと同時代、ドイツ・アメリカで活躍している画家です。時々ロックミュージシャン。
*ドイツ表現主義の画家【エミール・ノルデ】
エミール・ノルデ《婦人像》1920年

エミール・ノルディ(1867-1938)
フランスのフォーヴィスム誕生と同じ1905年、ドイツのドレスデンでは、従来のアカデミックな芸術に反抗する若手画家たちが、自分達の作品が未来へのかけ橋となるようにと「ブリュッケ(橋)」というグループを立ち上げました。エミール・ノルデはその一人で、奔放な色遣い・激しいタッチ・歪んだ描線で心情を表現した「ドイツ表現主義」を代表する画家です。
ライナー・フェティンク《シャワーを浴びる男 Ⅳ》1981-82年 ディスパージョン/キャンヴァス 250×160cm
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男はどんな一日を過ごしてここに居るのだろうか。一点を見つめ続け、どれほどの時間シャワーを浴びているのだろうか。いや、シャワーを浴びていることさえ忘れているのかもしれない。このまま溶解していきそうな不安感。「お前だって孤独だろう?」私達への無言のメッセージが聞こえてくるようだ。
巨大なキャンバス、大胆な筆触、簡略化した形。映画やドラマのワンシーンのようなストーリー性を感じる。描写の巧拙を越えて私達の感情に静かな揺さぶりを掛けてくる。
ライナー・フェティンク《Phone Call》1984年 アクリル/キャンヴァス 230×182cm
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シャワーの後に掛かってきた電話だろうか。フェティンクの作品は、モティーフに統一感があり、つなげてストーリーが進んでいく。都会の片隅の情景だ。
具象絵画を描き続けたフランシス・ベーコン(1909~1992 アイルランド出身)の「自分が惹かれるイメージを再現しているだけ」という言葉を思い出す。
ねじり、編み込んだような男の体は長いストロークの筆触モザイク。対角線上のデフォルメされた不安定な肢体を、カウンターが支えている。黒く塗りつぶされた三角形のスペースが彼の安全地帯のようだ。
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