川内倫子《無題》2005 【Cui Cui】より (cuicuiキュイキュイとはフランス語で雀の鳴き声)

川内倫子《無題》2001 【うたたね】より

川内倫子《無題》2009

川内倫子《無題》2004年 AILA・シリーズより (AILAアイーラとはトルコ語で家族・血縁の意味)

写真集【うたたね】【花火】【花子】(2001) 【AILA】(2004) 【Cui Cui】(2005)【the eyes,the ears,】(2005) りんこ日記 ローライフレックス 正方形のフォーマット 浅い被写界深度 特異性
川内の作品群を見て、「いつも見ている物なのに」あるいは、「こんな写真を撮ったことがある」「自分にも撮れそう」と思う人は数多くいると思います。なぜなら彼女が撮る一連の被写体が、私たちの日常に存在する見慣れた光景であり、一見見過ごしてしまうような光景だからです。しかし彼女は、そのありふれた日常の流れの中に存在する特異性を見逃すことなく、独自の視線で切り取り、私達が気付かずにいた新しい世界を開示しているのです。
何でもない光景が、アートギャラリーで展示されたり写真集として発表されることにより、アートとしての訴求力がさらに高められています。
切り取られたものはジョーロから流れ出る水であり、洗濯機の中で回転する石鹸水であり、金魚たちの騒がしい動きであり、赤ちゃんのあごをつたって落ちる乳なのです。
浅い被写界深度により、前景と光景がボケて中景にピントが合っていることで、独特の雰囲気が伝わってきます。又正方形のフォーマットが、彼女の作品を特徴づけています。ローライフレックスの6×6というサイズを、ほとんどトリミングせずにプリントしているそうです。縦とか横という制約が無いことが彼女の世界をより高めているのではないでしょうか。
また光や色彩が美しく、物をやさしくみつめる(会話する)川内のやさしい眼差しが、こちら側に存在しているのを感じます。小さき物にも神は存在するということでしょうか。
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