今回からフォーヴィスム(1905~1908)についてご紹介いたします。

~自然主義から非写実な表現に向かう絵画の流れ~
印象主義の画家たち(モネ・シスレー・ピサロ‥)が野外に出て、刻々と変化する自然(移ろいゆく光や
大気や水)を、自分の目に映るがままに軽妙なタッチで即興的に描きました。

光を色彩に置き換えて表現しました。 【現象(~に見える)を描く】

モネ《日傘の女》1886年

シスレー《ヴィルヌーヴ・ラ・ガランヌの橋》1872年

ピサロ《エラニーの冬朝 日光の効果》1896年
しかし、後期印象派(ゴッホ・ゴーギャン‥)の画家たちは、スタートは印象派であったけれども、
現実の色や形に似せて描く自然主義的な印象派の画風に満足せず、生と死、感情や想像力など、
印象派が描かなかった内面的な世界を描いたのです。画家の主観が表現され、画家が特定できる
個性的な画面が作り出されました。【自分は世界を~のように見る。主観を描く】
注 後期印象派とは、印象派の後半という意味ではなく、印象派の後に出てきたというとらえ方です。
ゴッホ、ゴーギャンは『目に見えるもの』に見切りをつけ、人間の目に見えない心の世界を、色彩自体が
持つ表現力を生かして、強く表現しました。

ゴッホ《夜のカフェ》1888年

ゴッホ《星月夜》1889年

ゴーギャン《黄色いキリスト》1894年

ゴーギャン《ノアノア》1894年
【印象派の画家たちは、自分たちの周辺にだけ目を向けていて、思想の神秘的内部に入り込もうとしない】
ゴーギャンの言葉
【僕は目の前にあるものを忠実に再現する代わりに、又自分自身を一層強く表現するために、色彩をもっと気ままに使っている】
ゴッホの言葉
またセザンヌは、色彩の視覚対比(暖色・寒色)を使って、量感や奥行きを表現しました。

セザンヌ《コンポートのある静物》1879~1880年
(ゴーギャンが長く手元に置いていた作品です)
「色彩そのものに、力強い表現力や造形力がある」
このような絵画の流れの中、ゴッホ、ゴーギャンの影響を強く受けたフォーヴィスム(野獣派)が生まれてくるのです。
フォーヴィスムのキーワード 「主観的な色」 「力強さ」 「激しさ」
次回へと続きます!
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