《赤の調和》1908年 180×220cm エルミタージュ美術館
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赤色の美しさを引き出すために床も壁もテーブルクロスも赤一色で描かれ、事物も空間も平面化されています(赤色の表現力)。 さらにイスラム模様(アラベスク)が這うように描かれて装飾性が強められ、ごくありふれた日常の風景が、不思議な雰囲気を漂わせています。
窓から見える風景の緑と室内の赤色を対比させ、画面の単調さを防いでいます。
《茄子のある室内》1911年 212×246cm グルノーブル美術館

イスラム美術の大展覧会で、マティスはその豊かな装飾性、特に絨毯に描かれた空間に感動します。アラベスクに代表される【オリエンタリスム】はその後の作品に影響し続けます。
床、壁区別なく部屋一面に平面的に描かれたオリエンタルな装飾の中、平面化された事物が浮遊しているかのようです。
マティスは絵画としていかに面白く見せて行くかということを追求しています。
《薔薇色のアトリエ》1911年

薔薇色のアトリエに配された赤色のいくつかの家具、画面の中央の黒の装飾的な布が印象的な作品です。 マティスは1908年「画家のノート」の中で
【私が夢見ている芸術とは、精神を安定させるような芸術、肉体の疲れを癒す安楽な肘掛椅子のようなものである】と書いています。この作品はその1枚ではないでしょうか。
《ダンスⅡ》1910年 261×391cm エルミタージュ美術館

マティス前期を代表する傑作
ロシアのコレクターの求めに応じて描いた作品です。
深みのある青、鮮やかな緑、そして力強い生命力を感じさせるバーミリオン、この3色だけで仕上げています。
単純化による輪郭線の美しさと、色彩の人に訴える力が組み合わさって、マティス独自の世界が表現されています。
輪を作る手が離れそうなほどの遠心力やリズミカルな音楽など、軽やかな躍動感を感じさせます。
形態と色彩が単純化された作品です。
《赤いアトリエ》1911年 181×219cm ニューヨーク近代美術館
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三次元の空間を赤い絵の具一色で表現された作品です。
様々な事物は隣り合わせのものと関連しながら、横に広がるかのように画面内を巡回しています。画面に描かれた絵画はすべてマティス自身の作品です。
《青い窓》1911年 131×90.5cm ニューヨーク近代美術館
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マティスにとって、色彩はもっとも重要な要素です。色彩は現実通りに使う必要はなく、また出来るだけ純粋な色を少ない色数で描いた方が表現力が増すと考えていました。
全てのフォルムが単純化され、単一的な色彩で、室内と室外がキャンバス上で一体化されている。
キャンバス全体の青とわずかに使われた黄土色と赤が調和し、静けさと安らぎを与える作品。
色彩や構図は、セザンヌの「青い花瓶」に依拠しています。

セザンヌ《青い花瓶》1885~87年 61×50cm オルセー美術館
次回はマティスの《金魚をモティーフにした作品》を紹介します。
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