【デッサンを愛した画家】
「線を引きたまえ、とにかくたくさん線を引きたまえ、優れた画家になるためにはそれしかない」
「形態を常に正確に、明確に描くことが重要である。そのためにとにかくデッサンをして、鋭い観察力を養え!」
新古典主義の画家アングルの言葉
国立美術学校でアングル派の教師に学んだドガは、その教えを生涯を通して貫き、印象派でありながら線を
大切にして形体を重視してデッサンにこだわりデッサンを愛した画家です。


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【室内の印象派】
伝統的な技法に反対し新しい表現を求めた若い画家 たちが開いた印象派展に、第1回から最後の第8回まで
(第7回を除く)積極的に参加しながらも、戸外に出て自然から受ける印象や移ろいゆく光による効果によって
生じる色彩を描こうとはしませんでした。モネ/ルノワール/ピサロ(外光派)のように筆触(色彩)分割で描かず、
むしろ『感覚に頼りすぎる』と批判的でした。印象派との共通点は、『現実世界に対する強い関心』つまり、
その時代にに生きる人々や、その時代の社会現象を描きたいということだけで、 自然の風景に何の興味も
持たず、早く家に帰って自分の場所で仕事がしたいと考えていました。
伝統的な技法とは‥陰影法・遠近法・題材が神話/宗教/歴史
筆触分割とは‥絵の具は混ぜれば混ぜるほど濁って暗い色になります。明るく照らし出された外の世界を描くため、
色を混ぜずに直接キャンバスに置き並べました。近くで見るとそれは筆跡(絵の具)しかし鑑賞者が離れて見たときに、鑑賞者の目の中で混じり合って明るい色に再現されるのです。
モネ《アルジャントゥーユのヨットレース》 1872年

部分 「筆触分割」

【踊子の画家】
ドガ《オペラ座の稽古場》1872年

稽古場の光の加減がとても心地よい作品だと思います。踊り子たちの立ち位置とそれぞれのポーズが、真ん中にぽっかり空いた空間と調和が取れていて、落ち着いた安らぎを感じます。バー、椅子の上の扇、チュチュのリボン、そしてドガのサインの色彩がアクセントになっています。
浮世絵の影響
《コンコルド広場》1875年

カメラで気軽に撮ったスナップ写真(日常生活の切り取り)のような作品です。
前景と後景だけで構成されていて、中景は省かれています。大胆な遠近の対比構図です。
中心がずれていて、左右非対称
デュランティ(ドガの友人で批評家)の言う「我々の視点は常に部屋の中心にあるとは限らない。人物は決して画面の中心にはない」という構図法を浮世絵の中に見い出したのです。
歌川広重《堀切の花菖蒲》

ドガ《スタンドの前の旗手たち》1880年

大胆なトリミングがされていて、端の人物が切り取られている。すべての人物や馬が全身の姿で描かれていない。
歌川広重《鎧の渡し小網町》

ドガもまた浮世絵に強いインパクトを受け、自分の作品がいかに絵画的に面白くなるかを研究した画家の一人です。
浮世絵は、大胆な構図・豊かな色彩・平面的な描き方など、改めて素晴らしい日本美術の一つのジャンルだと感じます。
次回は浮世絵とロートレックについて紹介致します。
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