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アート/ART 

ART PROGRAM K・T 

美を巡る「花」Ⅴ

【色々な花】

マティス《マグノリアのある静物》1941年
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マティス自身が、「私のお気に入り」と語っていた作品です。

花や貝を貼り付けたように描いた平面的な空間構成。赤色の強さと美しさに目が引きつけられます。
マティスの赤です。テーブルとかクロスの色といった何かを示す説明的な色ではなく、強い造形表現のために使われる色彩としての明快な赤色なのです。
右上の花瓶下の小皿にわずかな奥行き感がある以外は、全てが立面で描かれていて、より平面的で装飾性が強調されています。
空中を浮遊するかのように並置されたモチーフは、画面の中を巡回しているようです。さらに、モチーフの一部が画面の端で切られている構図によって、外に向かう拡張性をも引き出しています。
また、「線」と「色彩」が主張し合いながら調和よく共存していると思います。つまり、線に合った色が塗られ、色に合った線が引かれていると思います。深刻さや力みを感じさせない線と色が、見る者の心を安らかにさせてくれます。
自然や物、人体、空間をいかに絵画的に表現するか、絵画の生成に関する問題と真剣に取り組んだ画家マティス。彼が切り開いた絵画の革新的な表現法は、今日も多くの芸術家が受け継ぎ様々な展開を見せています。  


ベルナール・ビュフェ(1928~1999)《ユリ》
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ベルナール・ビュフェは、フランスの具象絵画を代表する画家です。日本でも1960年代に人気を博した画家です。

鋭く強い線で描かれたユリです。黒い針金のような輪郭線が大胆に引かれています。ユリの花はハサミで切り抜いたような印象を受けます。モノトーンに近い色遣いが、形態の面白さをより引き出しているように感じます。
この作品は、とても調和の取れた作品だと強く感じます。
テーブルクロスの垂れ下がった輪郭線だけの三角形が(白く塗りつぶしてあると、異なる印象になると思います)、細い足の丸テーブルに安定感をもたらし、画面全体のバランスをとっています。ユリの花のそれぞれの向き、花瓶の高さや、テーブルのわずかな傾きも、画面のバランスをもたらす要素となっています。又、ビュフェの作品のサインは、ここという場所に書かれていて、作品の一部となっています。

黒く鋭い決定的な輪郭線によるビュフェ独自の描き方は、見る者に絵画の面白さを教えてくれます。



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テーマ:アート・デザイン - ジャンル:学問・文化・芸術

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